2018年5月14日月曜日

おくのほそ道 明和G についての覚書


慶應義塾図書館所蔵の「おくのほそ道 明和G」は Google Booksで公開されている。

慶應義塾図書館書誌
BIB System No.001975534
タイトル:おくのほそ道(外題) / [芭蕉著]
出版事項 :明和7跋 [1770]
統一タイトル:奥の細道
注記:刊本

この版には、素龍跋の3行目に、「伏て村肝(本ノマゝ)を刻む」とあるので、「元禄版 おくのほそ道 雲英末雄編 勉誠社」の分類によれば、明和Aに対応し明和版では一番初期の版ということになる。

54a.03 (素龍跋)「伏て村肝(本ノマゝ)を刻む」

明和G

しかし、「蛤」の句の53丁表と裏(53a, 53b)が欠落し、52丁裏の余白に無理矢理書き込まれている。次に欠落のない明和Iと欠落のある明和Gを並べてみた。

 明和I (52b,53a)  (53b,54a)
「蛤の/婦(ふ)たみに/わかれ行秋そ」


明和G (52b,53a)
「蛤のふたみにわかれ行秋そ」

・「蛤」の句が52bの余白のの部分に無理矢理書き込まれていいる。このようになった理由は次の3つの可能性が考えられる。

1.明和版を作る時に「蛤」の句の版木が紛失していたため、52bの余白の部分に新たに「蛤」の句を彫った。その後「蛤」の句の版木が見つかり、次版からまた旧に復した。
2.刷り忘れたので「蛤」の句を52bに墨書きで書き込んだ。
3.もともとは欠落はなくきちんと刷ってあったのだが、このページが破れてしまい、この本の所有者が「蛤」の句を52bに書き込んだ。

仮に1.2.であるならば、この明和Gが、明和版の初版ということになり、明和版は5種類から1種増えて6種となる。また、寛政版では53丁部分の丁付がなされていないが、明和Gの53丁の欠落がその要因となった可能性が出てくる。さらに、奈良大の寛政N1や阪大忍頂寺の寛政Oの「蛤」の句が表表紙の見返しに置かれ、別版D(天保校正 半化坊選)ではこの句が本文の冒頭に置かれることとなったのも、明和Gの53丁の欠落がその要因となった可能性も出てくる。

以上について調べてみる価値があるように思われる。

この他、明和Gには次のような問題がある。
13丁裏(13b)「花かつみとは・・・石半土に埋て」
14丁表 (14a)「あり里の童・・・瀬の上と」
が欠落している。
また、(42丁裏,43丁表) (43丁裏,44丁裏) が二重に刷られている。
これらはGoogleでスキャンした時のミスである可能性もある。

奈良大学図書館 寛政N1
愛知県立大学図書館  明和I
Google ブックス 慶應義塾大学  明和G 後ろから表示される。
早稲田大学図書館  別版D(天保校正 半化坊選) 
元禄版 おくのほそ道 雲英末雄編 勉誠社

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2018.5.14
水音凛香・速水敬五
はじめに
底本と主な参考文献
ひらがなの字母
表紙 000 
1.序章 001 002 003.03
2.旅立 003.03 004 
3.草加 005 006.05
4.室の八島 006.06 007.05
5.仏五左衛門 007.06 008 009.01
6.日光 009.02 010 011 012.03
7.那須 012.04 013 014.06
8.黒羽 014.07 015 016.07
9.雲巌寺 016.08 017 018 19.07
10.殺生石・遊行柳 19.08 020 021.02
11.白河の関 021.03 022.06
12.須賀川 022.07 023 024 025.05
13.あさか山 025.06 026.06
14.しのぶの里 026.06 027.07
15.佐藤庄司が旧跡 027.08 028 029.07
16.飯塚 029.07 030 031.08
17.笠島 031.08 032 033.03
18.武隈 033.04 034 035.01
19.宮城野 035.02 036 037.04
20.壺の碑 037.05 038 039 040.03
21.末の松山 040.04 041 042.04
22.塩竈 042.04 043 044.04
23.松島 044.05 045 046 047 048 049.05
24.石巻 049.06 050 051.07
25.平泉 051.08 052
053 054 055.01
26.尿前の関 055.02 056 057 058 059.01
27.尾花沢 059.02 060.03
28.立石寺 060.04 061
29.最上川 062